【短編小説の書き方講座】 第1回:短編小説の基礎+プロット作りのコツを紹介!

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近年“小説家になろう”や“カクヨム”の作品が次々アニメ化やコミカライズ化したことに影響を受け、小説家志望や同人活動、趣味で小説を書く人が増加傾向にあります。

ただ、長編小説は世界観の作成からキャラクター(登場人物)の数、何より文字数の多さから執筆初心者には難しいとされてます。

なのでまずは短編小説から書いて小説を書く練習をしたいと考える方も多いのではないでしょうか。

・短編小説の書き方がわからない……。

・将来的には長編小説も書いてみたい!

本記事では上記のようなお悩みを持つ方へ向けて、将来的には自信を持って長編小説へ挑んでもらえる短編小説の書き方やコツを紹介していきます。

湯呑にゃ。
湯呑にゃ。

短編小説には長編小説に繋がる技術がたっぷり詰まってるニャ!

湯呑屋。
湯呑屋。

(これまで「なんとなく書く」しかしてこなかったな……)

短編小説は文字数によって呼び方が違う

小説の画像。

まず、短編小説はその文字数によってさらに3つのジャンルに分類することができます。

各ジャンルの呼び方は以下の通りです。

※定義されているわけではないためあくまで参考文字数です。

・掌編小説:800字以内

・ショートショート:4,000字以内

・短編小説:20,000字以内

それぞれの違いは次の項目で解説します。

【掌編小説とは】

掌編小説とは、800字以内ので完結する小説です。

500字以内の1シーンで完結するものや、X(旧Twitter)に投稿されている140字小説54字の物語などが掌編小説にあたります。

初心者の方でも気軽に作成できるのが掌編小説のメリットですが、その分コンテストの数が少ない、賞金が少ない、書籍化の機会が少ないなどのデメリットも挙げられます。

※もちろん0ではなく、定期開催されている有名なコンテストも存在します。

なので、掌編小説はアイデア出しの練習や文章を短くまとめる練習として作成し、SNSに投稿して自身の宣伝などに使うことが得策と言えるでしょう。

【メリット】
・初心者でも気軽に作成できる
・ワンアイデアで書き切れる

【デメリット】
・コンテストの数が
少ない
・書籍化される可能性が低い

【ショートショートとは】

ショートショート800字から4,000字以内で完結する小説です。

SFファンタジー作家の星新一筒井康隆の名前には聞き覚えがある方が多いのではないでしょうか。彼らは有名なショートショート書きです。

ショートショートは意外な結末(どんでん返し)がストーリー内に用意されていることが多く、短いながらも読みごたえがあるという特徴があります。

ストーリーを考えるハードルは他の短編小説と比べて高くはあるものの文字数としては挑戦しやすい分量であるため、物語を考えることが得意な方にはオススメのジャンルと言えるでしょう。

【メリット】
・比較的少ない文字数で書ける
・児童文学的な要素もあり、読み手が多い

【デメリット】
・ストーリーを考えることが難しい
・規定文字数にまとめることが難しい

【短編小説とは】

短編小説4,000字~20,000文字で完結する小説のことを指します。

正直に言えば長編小説との違いはただ文字数(それに付随するシーン数、登場人物数の数)であり、ストーリープロットを組み、それを物語として文字に起こしていくという流れは長編小説と変わりません。

また、一部では「長編小説を書き切った人は(事実上は)長編小説を書くことができる」とも言われています。

短編小説はコンテストや公募も多く、長編小説よりは少ないもののアンソロジー(複数作家の小説を合わせて作る短編集)として書籍化される機会も少なくないため、これから長く小説を書いていきたい方はまず短編小説で執筆の練習をすることをオススメします。

【メリット】
・小説の基礎を学べる
・長編小説を書く練習にもなる
・コンテストや公募が開かれる機会も多い

【デメリット】
・長編小説に比べると注目度が低い

※書籍化の機会が長編小説に比べると少ない

短編小説の書き方やコツを徹底解説!

パソコンの画像

ここからは、実際に短編小説を書く流れとコツを紹介します。

【書き方の手順1:プロット(構成)を作成し文字数を決める】

短編小説を書くにあたって最初に行うことはプロット(構成)の作成です。

プロットとは、簡単に言うと物語の設計書(世界観、登場人物、ストーリー、構成、文字数)のことです。

短編小説を書く方の中にはプロットを考えずに一発書きを始める方も大勢います。しかし今後長編を書く際にプロットを決めずに書き始めてしまうと、物語の途中で矛盾が発生する、ストーリーが思いもよらぬ方向に進み最初から書き直すなどの問題が生じることがあります。

なので、短編小説からプロットを組む練習を必ずしておきましょう。

Step1:コンテストの文字数規定や、書きたい文字数を決定する

プロットを書く時は、まず総文字数を決めるところから始めるとグッと作りやすくなります。

応募したいコンテストがある場合はわかりやすいですが、そうでない場合も文字数は決めてしまいましょう。

Step2:起承転結・序破急・三幕構成などの構成+各章の文字数を決める

文字数を決めたら、次は全体の構成を決めましょう。構成の組み方がわからない方は起承転結を選択すれば作りやすくなります。

使う構成を決めたら、各章に文字数を割り振ります。(総文字数8,000字→「起:1,500字」「承:2,000字」「転:3,000字」「結:1,500字」など)

Step3:ストーリー、各章に登場する人物数、書きたいシーンを決める

章ごとに文字数を割り振ってブロックを作成したら、遂にその中にストーリーや登場人物を放り込んでいきます。
先に使える文字数を決めているので、まとまったストーリーが考えやすいのではないでしょうか。


この時点で登場人物に言わせたいセリフや書きたい情景描写比喩表現があればメモ書きのように書き込んでしまっても問題ありません。

【コツ1:起承転結は「転」から書く】

ストーリーを起承転結で書く場合は「転」から書き始めると印象的なストーリーが作りやすくなります。

「転」を最初に書くメリットは以下の通りです。

・冒頭を印象的にできる
・「起」「承」の文字数を削減できる

短編小説の弱点は、使える文字数が少ない点にあります。

最初から時系列に沿って説明していると「それだけで半分も文字数を使ってしまった!」となってしまいます。

しかし、最初に「転」にあたるシーンを持ってくれば「起」と「承」で行う説明をぐっと減らすことができ、さらに冒頭が印象的になるので読者の心も掴みやすくなるので効果的と言えるでしょう。

冒頭「転」

全国高等学校陸上競技対校選手権大会、男子100m走決勝。スタートラインに付く主人公の鼓動は、いつもより大きく跳ねる。自分にとって最後の大会での優勝を亡き弟に捧げる。彼はその使命に駆られていた。

※主人公が陸上部に所属している高校3年生であること、弟が最近亡くなったことが事実として書かれているため、そこに付随する基本的な説明を割愛できる。また読者に「弟はどんな子だったのだろう」「主人公はどのくらいの実力からここまで上り詰めたのだろう」などの興味を発生させることができる。

【コツ2:文字数は「シーン数」と「登場人物数」で決まる】

各章ごとの文字数は「シーン数」と「登場人物数」で決まります。

たとえば承で「部活中」「帰り道」「帰宅後」の3シーンを描こうとすると、シーンごとに使える文字数は約1,000文字です。ここに部活仲間や家族を登場させてしまうと、到底3,000字で承を書き切れるとは思えません。

このようにシーンを決めると登場人物数が判明し、その2つが決まると各章で使う文字数の想像がつくようになります。

そこから逆算すると各章の文字数は「シーン」と「登場人物」の数で決まると言えるので、構成を作ることに慣れてきたらまず冒頭から完結までのシーンを作ってみましょう。そうすれば文字数を当てはめるだけで自然と起承転結が作れるようになります。

【書き方の手順2:本文を書き始める】

短編小説はプロット(構成)を作った時点で既に6割が完成していると言っても過言ではありません。残り4割は皆さんの書きたいように書いていきましょう。

本記事はプロット(構成)の作り方に重きを置いて解説しているので、構成の面から見た本文の書き方のコツを紹介します。
※情景描写のコツや人称などのコツは、後日別の記事で解説します。

【コツ1:冒頭には最も力を入れる】

小説において、冒頭は必ず全ての読者の目に触れる部分です。

ここで興味を引けなければ大半の読者は離れてしまいます。反対にここで興味を引ければ、短編小説は最後まで読み切ってもらえる確率が格段に上がります。

先ほど紹介した「転」から書く方法もここに繋がりますが、さらに印象的にしたい場合は以下の方法を試してみてください。

・セリフ/会話から始める
・作品のテーマを象徴する内容を書く
・謎を残す

3つ目の『謎を残す』について補足しておくと、この謎は「ミステリー」のことではありません。

冒頭を「転」から始めると、必ず情報に抜けや漏れが発生します。先ほどの冒頭例でいくと「なぜ弟は亡くなったのか」「弟に優勝を届けたいのはなぜか(ライバル関係にあったのか等)」が謎です。

謎を残すことで、読者は答えが知りたくて次のページをめくるという導線が完成します。

【コツ2:地の文や会話文のリズムを大切にする】

冒頭はクリアしたとして、次に読者が離れる要因は「文章のリズムが悪い」です。

歌で考えるとわかりやすいのですが、たとえ音程が取れていて声がキレイでも、リズムがずれていると気になりますよね。文章にも読みやすいリズムが存在し、それがずれると途端に読めなくなる、読んでいてストレスを感じることがあります。

上手くリズムを取るコツは以下の通りです。

・現実でのやり取りを参考にする
・シーンの盛り上がり具合、重要度でリズムを分ける

基本的には「体感時間=リズム」と捉えると解りやすいかと思います。

「友達と軽快に会話している時には考え事をしない(会話の間にモノローグが頻繁に挟まることはない)
「喧嘩の時は時の流れがとてもゆっくりに感じる(感情が強く揺さぶられている時はモノローグが多い)

このように現実に即した流れを文字起こしする感覚で文章を書くと、心地よいリズムが生まれるとされています。

以上が今回紹介する短編小説の書き方です!

【短編小説向けのコンテスト3選!】

短編小説向けのコンテストに挿入された画像

ここからは「せっかく書くならコンテストに挑戦したい!」という方に向けて、定期開催されている短編小説のコンテストを3つ紹介します。

【短編向けコンテスト1:超・妄想コンテスト(エブリスタ)】

『超・妄想コンテスト』は、Web小説投稿サイト“エブリスタ”が主宰している「たった三行から応募できる短編小説コンテスト」です。

最低100字から応募できる点と、3週間に1回ほどのペースで新テーマでの募集が始まる点が大きな魅力です。

ジャンルも特に指定はなく、ヒューマンドラマからファンタジー恋愛から青春(ブルーライト文芸)まで多岐に渡るので老若男女問わず誰でも気軽に参加できるコンテストと言えるでしょう。

文字数100~8,000文字
テーマ回ごとに発表(過去テーマ:山、雨上がりetc…)
賞金大賞:3万円

【短編向けコンテスト2:短編小説新人賞(集英社 オレンジ文庫)】

短編小説新人賞』は、集英社オレンジ文庫が開催している新人作家向けの公募(コンテスト)です。

こちらは応募規定が原稿用紙換算で25~30枚と定められているので、会話文や改行で発生する空白を換算すると大体8,000字弱ほどになる(超・妄想コンテストの上限文字数と同じくらい)ことが多い印象です。

短編小説新人賞はテーマもジャンルも指定がなく、過去の受賞作品を読んでもジャンルがバラバラなので「自由に自分が面白いと思う作品が書ける場所」だと考えると良いかもしれません。

文字数400字詰め原稿用紙25~30枚
テーマなし
賞金入選:20万円

詳細や過去の受賞作は公式サイトから確認できます。

【短編向けコンテスト3:高橋源一郎「小説でもどうぞ」】

高橋源一郎「小説でもどうぞ」』は、原稿用紙5枚で応募できる公募(コンテスト)です。

その魅力は何といっても原稿用紙枚数(文字数)の少なさ、そして最優秀賞/佳作には作家の高橋源一郎さんから直々に選評がもらえるところです。

プロの作家から選評をもらえる機会はかなり貴重なので、掌編小説やショートショートをメインジャンルにしている方はぜひ詳細や過去の受賞作を読んでみてください。

文字数A4判400字詰め換算5枚厳守
テーマ回ごとに発表(過去テーマ:名人、選択etc…)
賞金賞:3万円

短編小説の書き方:まとめ

今回は短編小説の書き方について、プロット(構成)の作り方を中心に解説しました。

短編小説でもしっかりプロットを組む癖をつけておくと、長編小説に移行する時に役に立ちます。

今はプロットは必要ないと感じている方も、ぜひ今回紹介した手段を頭の隅にとめておき、いつかプロット組みで詰まった時は手段の1つとしてこのやり方を試してもらえると嬉しいです。

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